家族葬とはどんなお葬式か?

家族葬とは

家族や親族のみ、或いは、少数の親しい方がこれに加わって弔うお葬式の形式です。
従来の一般的な葬儀は、故人とは面識がない親族の関係者や関係の薄い方までが通夜に会葬していました。したがって、通夜と告別式で構成する葬儀では、火葬の前日となる通夜式で喪主や遺族が接待などに時間をとられ、故人と最後の時間をゆっくりと過ごすことができませんでした。
しかし、お葬式とは本来は故人との最後のお別れの時間を大切にするものであり、弔いの過程で儀式を行うものです。また、高齢化や核家族化及び社会のつながりの弱まりなど、葬儀に参列する側も弔われる本人も見た目の葬儀式に対する意味に疑念を持つ方も増えてきました。
このため、最近の調査では8割近くの方がご自身のお葬式は家族葬を希望するという結果もあるようです。

本来のお葬式

葬儀式とは国や地域社会における文化として風習ややり方などが育まれてきました。しかし、一番に影響があったのが葬儀社の都合です。
例えば、火葬場で食事を行う「精進落とし(繰上げ法要)」などがその良い例です。仏教式では初七日に法事を行いますが、喪家にとっては改めて手配をしたうえで参列者に来てもらうのも難しいので、火葬中に繰り上げて行ってしまおうということなのですが、葬儀社にとってもアフターフォローの手間や自社で料理を手配できて葬儀料金の単価を上げられるという商売の動機から提案されることもあります。
また、自社で葬儀場を運営している葬儀社(互助会など)は、自社の大きなホールでの葬儀を勧める傾向があります。参列者の人数に関わらず、大きな式場では祭壇を大きくしないと見劣りしたり、花が少ないと寂しく見えたりするため、式場に合わせて見た目を豪華にするために喪家もお金をかけざるを得ないからです。更に、自社のホールで行う場合は、葬儀料金の単価が低いと「駐車場使用料」「控室使用料」などと後から単価を上げるために、半ば後出し的な請求を行うケースもあるようです。
このようなことから、葬儀社のための葬儀ではなく、故人と遺族のためのお葬式を適切な費用で行うのが良いと一般的に考えられるようになってきたと言えます。

家族葬の種類と選び方

家族葬とはあくまで親族や近しい方々を中心に行うお葬式のスタイルではありますが、必ずしも少人数だけが家族葬とは限りません。家族葬を行うつもりでも、結果として生前のお付き合いから参列者が多くなることもあります。
家族葬の種類やスタイルを考えるうえで、むしろ重要なのは二日間かけて「通夜と告別式」を行うか、「告別式だけ」を行うか、どちらも行わないか、といった考え方です。
一般的には費用や葬儀日程の都合から、これらのスタイルを選択するケースが多くなります。
また、多くの方は亡くなった場合に自分の葬儀に大金をかけて欲しくないので、質素に弔って欲しいという希望を持つことが多いため、この希望を優先することもあります。しかし、葬儀とは遺族の方の気持ちの整理の問題でもあります。
近年では、親しい方が亡くなることで心理的ストレスやショックをうけることから、グリーフケアという心のカウンセリングの必要性も主張されています。また、通夜や告別式といった儀式の時間は、ご遺族が亡くなった方の死を受け止め気持ちを整理し、心を安らかにしていく効果が大きいともいわれています。
このような観点などから、葬儀日程の視点だけでなく、告別式と通夜を行う二日葬の家族葬、告別式のみを行う一日葬、儀式を行わない火葬式直葬)といったスタイルを検討するのも重要です。

コロナ禍での葬儀

世界的なコロナ禍は社会や生活に大きな影響を及ぼしていますが、葬儀も例外ではありません。いわゆる「3密」という環境を避けることが推奨されている状況では、従来のように「不特定多数による賑やかな飲食」を伴う通夜式は行われなくなってきています
家族葬の通夜式では親族や近しい方々のみで行うため、クラスターのリスクが大幅に減少しますし、一日葬や火葬式(直葬)であれば通夜式の会食がありません。
こういった事情から、今や葬儀の選択は明らかに家族葬が中心となっています。
なお、新型コロナによりご逝去された場合は、儀式は行えませんので直葬(火葬式)しか行えませんが、火葬を行った後で「偲ぶ会」や「お別れ会」などを近しい方々のみでこじんまりと行うという弔いの仕方もあります。