家族葬の費用

家族葬の費用の構成

葬儀にかかる費用は複数の内容で構成されます。これらの内容は地域や宗教事情などから大きく変わりますので、費用を安価でリーズナブルに抑えるためには、それぞれについて知っておくおく必要があります。

  1. 葬儀の施行に関する費用
  2. 葬儀施設に関する費用
  3. お布施
  4. 火葬に関する費用

葬祭費の給付

多くの自治体では、国民健康保険(後期高齢者医療保険に加入の方も含む)に加入されている場合は葬祭費が支給されます。また、国保でなく組合健保などでも弔慰金があるケースが多いので、これらを上手に使って費用負担を軽減するのが得策です。

葬儀に会員制度入会は必要ない

お葬式を葬儀社に依頼する場合に、会員制度に入っていないとできないと思っている方も多いようです。また、加入している会員制度を運営する会社で行わなくてはならないと思っている方もいます。
しかし、会員制度を行っている葬儀社は、葬儀社側には商売上の理由はあっても、依頼するお客様側には合理性はありませんし、会員に入会しなくても葬儀を依頼できる葬儀社は沢山あります。
注意が必要なのは、入会すれば割引が利いて安くなると見える勧誘です。会員制度を行っている葬儀社では、大きな葬儀場を運営している会社も多く、以下の通り幾つかのカラクリがありパンフレットにある安価なプランで葬儀が行えるとは限らないことです。むしろ、会員制度を行っていない会社の方が料金が安いこともあり、以下の葬儀に関する費用「祭壇」や「葬儀施設に関する費用」などの注意点も参照してください。
既に会員になっている場合であっても解約して他の葬儀社に依頼されるケースも少なくありませんので、料金に関することは十分に調べるのがお勧めです。

葬儀の施行に関する費用

葬儀の施行に関する費用とは、葬儀社に支払う料金です。具体的には以下の内容が必要ですが、家族葬が一般的な葬儀に比べて最も抑えられる費用と言えます。

  1. 搬送費(病院へのお迎え、火葬場への移送)
  2. 手配(役所手続き代行、施設の手配、料理等の希望内容の手配)
  3. 祭壇
  4. 料理・飲み物等の飲食費(通夜振舞い、精進落とし)
  5. 香典返し及びお礼状
  6. ドライアイス
  7. 運営(進行役・給仕等)
  8. 骨壺
  9. 葬儀備品
  10. その他

家族葬が一般的なお葬式より安価な内容

家族葬は“大勢”を”接待”し、”見栄を張る”必要がないお葬式です。家族葬を行う場合は、葬儀社の見積もりが一般葬のような内容になっていないかを確認しましょう。

祭壇

祭壇は葬儀社の見積もりの中で最も高い料金の一つです。ほとんどの葬儀社は祭壇の大きさによってのグレードがあり、大きいほどグレードが上がり、料金も高くなります。
最も注意が必要なのは、大きな施設で家族葬を行うと祭壇を大きくしないと見栄えが悪くなり、仕方なくグレードをあげなくてはならないことです。家族葬はあくまで故人と近しい方々のための葬儀であり、大きな施設や部屋に合わせた祭壇を飾って豪華にやることではありません。従って、家族葬の料金を大きく下げるコツはコンパクトな葬儀場を使用することにあります。
コンパクトな葬儀場であれば、祭壇は適切な大きさか、又は設置しないで花だけで取り囲むなど工夫もでき、故人のご遺体とも距離が近く寄り添えます。

料理・飲み物等の飲食費

家族葬と一般葬の違いは飲食の数と内容です。一般的な葬儀では”通夜振舞い”と呼ばれる接待的な料理を数多く出さなければならなくなります。これが葬儀料金を大きく上げるもう一つの理由です。
一般葬の場合は、比較的多くの方が参列するケースが多いため、接待としての側面からお寿司や高級仕出しなどを用意することが多くなります。これに比べて、家族葬の会食は”食い別れ”とも呼ばれている通り、故人との最後の食事(晩餐)です。従って、接待用の料理ではなく、故人が好きだった料理や近しい方々が歓談しやすい料理を中心に考えれば良く、必然的に費用も安価になる傾向があります。

香典返し及びお礼状

家族葬は一般葬に比べて参列者の数が少なくなる傾向がありますので、香典返しやお礼状にかかる費用は少なくなります。ただし、収支でいえば収入にあたる香典が一般葬に比べて少なくなる傾向があります。

運営(進行役・給仕等)

お葬式を行うにはスタッフが必ず必要になります。進行や手配、移動の誘導や相談の窓口、司会や飲食の給仕、受付などです。家族葬の場合は一般葬に比べて、専門の司会者は不要であり、給仕も少なく受付も1~2名(又は不要であり最低限のスタッフで行うことができますので人件費が安価になります。

家族葬に関わらず注意が必要な見積もり

上記の通り、祭壇がグレードアップすると料金が高くなる要因ですが、他にも骨壺や棺も同様です。また、「プランに含まれている」とされるようなケースであっても”ドライアイス1日分”などという場合は、2日目以降で必要な分は有料ですから、ドライアイスの料金設定が高い場合は追加費用負担も大きくなります。
お線香などの葬儀備品は基本的には心配ありませんが、一般葬の場合は駅からの案内看板を設置することもあり、これには別途料金が必要なケースが多いと言えます。いずれにせよ、追加で何かのサービスがあった場合は費用を確認することが重要です。

家族葬で是非ともお勧めしたい湯灌

家族葬ならでは是非やっておきたいのが湯灌です。湯灌とは故人の入浴ですが、多くの方は亡くなる前はベッドに寝た切りで充分にお風呂に入っておられません。湯灌にはポータブルタイプの浴槽で入浴したり、シャワーで行うものもあります。最後の晩餐と同様に家族葬ならではの湯灌を是非とも検討されるのがお勧めです。

葬儀施設に関する費用

お葬式をご自宅で行う方もいますが、多くの場合は故人の終末時期は全てを優先しベットに寄り添うため自宅をあけることになります。このことから参列者を招くための準備に時間がなかったり、お葬式を行う設備も十分にそろわないこともあります。
このことから、現実の問題として死亡診断がなされた瞬間から「ご遺体をどうするか」「お葬式をどこでやるか」という問題に直面します。

ご安置施設

ご逝去の時間はコントロールできるものではありません。夜中の場合もありますし、早朝ということもあります。しかし、亡くなった場所が病院であればすぐに退去を求められますし、ご自宅の場合でも警察で預かる期限が決められています。介護施設の場合は霊安室そのものがありません。
このことから、24時間いつでも速やかにご遺体を搬入し、ご安置できる施設が必要です。ご安置する日数は火葬を行う日までですので、この間に宿泊費が必要となります。

ご安置の種類

ご遺体を保棺する安置施設は、冷蔵庫で保管するケースとドライアイスと部屋を冷やして行う安置があります。前者の冷蔵庫での保管はご遺体との面会が自由にできない(又は、全くできない)ケースがほとんどであり、後者の方が家族葬に適切です。

葬儀式場

葬儀式場は通夜や告別式で必要であり、直葬火葬式であっても最後のお別れでご面会し手を合わせて出棺するスペースが必要です。ご自宅で行わない場合は、式場使用料は必ずかかる費用です。
ただし、家族葬の場合は大きな建物や大きな部屋は一般的に不要であり、むしろコンパクトな施設を選んだ方が上記の祭壇などの要因による費用の総額は抑えられます。
また、大きな葬儀式場は費用だけでなく、参列者数の少ない家族葬の場合は、部屋が広いため”ガラーンとして”非常に寂しい雰囲気になることがあります。
家族葬を行う葬儀式場はコンパクトで故人との距離が近い、ご家庭で行うような広さの施設がお勧めです。

お布施

仏教式で家族葬を行う場合は、お坊さんに来ていただき”読経”と”戒名”をお願いすることになります。檀家になっている場合は来ていただくお坊さんが決まっていますが、お寺さんとのお付き合いがない場合は葬儀社等を経由して紹介してもらうことになります。
いずれにせよ、お坊さんには「お布施」が必要になります。檀家の場合はお布施の額も内々に決まっていることがありますが、紹介の場合は注意が必要です。本来お布施とは金額が決まっているものではありませんが、紹介してくれる葬儀社によっては数十万~百万円以上の高いお布施を要求するお寺さんもいるようです。
紹介をお願いする場合は、事前にお布施の金額を聞いておくと良いでしょう。

火葬

火葬を行う民間の施設は一部地域を除いで基本的にありません。従って、公営の施設である火葬場で行うことになります。

移動費用

火葬場が遠い場合に問題となるのは移動手段や費用です。一般葬では火葬場まで距離が遠く、行く人数が多いとマイクロバスの手配が必要になることがあります。
また、高齢の方やお体の不自由な方には負担もかかります。
家族葬は火葬場に比較的近い場所を選ぶ方が費用が抑えられると言えます。

控室使用料

火葬は1時間半~2時間程度かかりますので、火葬中に参列者が控えたり繰上げ法要の会食をする部屋が必要です。この際に控室の使用料がかかることがあります。
但し、市町村で運営している公営の火葬場は、市区町村の方が亡くなった場合や喪主が在住の場合などは非常に安価に使用できたり無料になることもあります。

火葬料

火葬料金はどんなお葬式でもかかる費用です。ただし、上記と同様に市町村で運営している公営の火葬場は、市区町村の方が亡くなった場合や喪主が在住の場合などは非常に安価に使用できたり無料になることもあります。

金額の水準

上記の通り、家族葬の費用は諸々の要素で大きく変わってきますが、総額費用はおおよそ以下が目安と言えます。

  • 二日葬(通夜・告別式あり) 50~100万円程度
  • 一日葬(告別式のみ) 50~80万円程度
  • 火葬式(直葬) 15~30万円程度

適切な金額で賢くお葬式を行うポイントは、やはり家族葬を火葬場から遠くないコンパクトな施設でで行うということと言えるでしょう。
いずれにせよ、事前の見積もりや準備をしておくことをお勧めします。